介護ロボットも!?どの福祉用具が介護保険給付を受けられるのか?

介護ロボット

 現在、介護ロボットを福祉用具として介護保険の対象とするか否か検討されていることについては、介護事業者の皆様は御存知かと思います。
 介護従事者の人手不足が叫ばれておりますが、介護ロボットは、介護従事者の負担を減らすこととなること、また、安倍晋三首相もロボットなどの先端技術の活用に意欲を示しているところからすると、介護ロボットが福祉用具として介護現場に導入される日はそう遠くないのではないでしょうか。
 今回は、今後介護ロボットが福祉用具として介護保険の対象となることを期待して、福祉用具とは何なのか、ということについて解説したいと思います。

1 福祉用具貸与と特定福祉用具購入について

 介護保険制度の中には、福祉用具についてのサービスが2つ取り入れられています。
 1つは福祉用具貸与(レンタル)サービスであり、もう1つは特定福祉用具購入費の支給です。
貸与の場合、利用者は事業者が定めるレンタル料金の1割負担でレンタルを受けることができます。他方、購入した方がよいもの、すなわち、腰掛便座などレンタルに適さないものについては、特定福祉用具として購入費が介護保険により賄われますが、貸与の場合と異なって、一旦全額を利用者が負担し、後に保険申請すると9割が利用者に返金されるという仕組みになっています。
 具体的に、どのようなものが福祉用具とされているのか、また特定福祉用具とされているのかについては、次のとおりです。

1−1 福祉用具(レンタル)

①車椅子
 自走用標準型椅子・普通型電動車椅子・介助用標準型車椅子など
②車椅子付属品
 クッション・電動補助装置など
③特殊寝台
 介護用のベッドのことで、サイドレールが取り付けられているか取り付け可能なもの
④特殊寝台付属品
 手すり・テーブル・スライディングボード・スライディングマットなど
⑤褥瘡予防用具
 床ずれ防止用具のことで、送風装置・空気圧調整装置を備えた空気マットなど
⑥体位変換機
 空気パッドなどを身体の下に差し入れて体位変換をしやすくできる機能を持っているもの。体位を保持する目的しかないものは不可
⑦手すり
 工事をせずに取り付けられるもの
⑧スロープ
 段差解消目的のもので工事をせずに取り付けられるもの
⑨歩行器
 二輪・三輪・四輪→身体の前と左右を囲む取っ手などが付いているもの。四脚→腕でもち続けて移動できるもの
⑩歩行補助杖
 松葉杖・カナディアンクラッチ・ロフストランクラッチ・多点杖など
⑪徘徊感知器
 認知症用の徘徊センサーなどのことで、認知症の人が屋外に出ようとした時などに家族などに知らせる機器
⑫移動用リフト
 段差解消器・風呂用のリフトなどのことで、つり具の部分は含まない。つり具は特定福祉用具となる
⑬自動排泄処理装置
 尿又は便が自動的に吸収されるものであり、かつ、尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造を有するものであって、居宅要介護者等又はその介護を行うものが容易に使用できるもの

1−2 特定福祉用具(購入)

①腰掛便座
 和式便器→上に置いて腰掛式にできるもの
 洋式便器→上に置いて高さを調節するもの
 便座から立ち上がるときに補助できる機能を持つもので電動式・スプリング式アリ便座やバケツなど、移動できる便器など
②自動排泄処理装置の交換可能部品
 尿又は便が自動的に吸引されるもので居宅要介護者等又はその介護を行うものが容易に使用できるもの
③入浴補助用具
 シャワー椅子・入浴用の椅子・浴槽用の手すり・浴槽内で使う椅子・浴槽の縁にかけて使う入浴台・浴室内のスノコ・浴槽内のスノコなど
④簡易浴槽
 取水や排水のための工事を必要としない簡易的な浴槽のことで、空気式か折りたたみ式など、簡単に移動できるもの
⑤移動用リフトのつり具部分
 身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なもの

2 介護保険が利用できない福祉用具があることを説明する

 利用者の中には、福祉用具を購入・レンタルすれば、必ず介護保険が利くと勘違いしている人がいますが、それは間違いになります。似たような福祉用具でも介護保険給付の対象となるものとならないものがあります。例えば、安価な杖は、介護保険の対象外ですが、多点杖であるテトラケインなどは介護保険が利用できます。
 また、介護保険の対象であっても、貸与する場合に保険給付を受けられるのか、それとも購入の際に保険給付を受けられるのかという違いもあります。例えば、上述のテトラケインは上記2でみたように、福祉用具購入の対象とはならず、あくまで貸与の際に介護保険の対象になるにすぎません。
 したがって、トラブルを避けるため、福祉用具貸与、販売事業者(いずれも介護保険の事業者と認められるには指定を受けることが必要です。)は、介護保険の対象となるか否かについて、きちんと説明をするようにしてください。

3 まとめ

 本稿を作成する時点において、介護ロボットが介護保険の対象となるのか否か、また対象となるにしてもどのような形態になるのかについては、未だ未知数です。しかし、今後、高齢化社会の進行とともに介護従事者の人手不足が深刻になることは容易に想定されるところですから、介護ロボットが介護保険の対象となる可能性は十分あるのではないでしょうか。市場においても介護ロボット2014年3月に上場(東証マザーズ)した介護用ロボットスーツHALを開発する企業の株価は業績に比べて高水準で取引されています。
 介護事業者の皆様におかれても、福祉用具貸与、販売について今のうちから検討しておくことは無駄ではないかと思います。

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