介護事業者が知っておくべき成年後見制度の手続きの概要② ~申立てに必要な書類・市区町村長への情報提供~

必要書類

 前回は成年後見を申し立てる「申立人」につき、大きく分けて①配偶者、四親等内の親族②市区町村長であることについて説明しました。

つまり、介護事業者は、入所者が成年後見相当であると判断した場合には、かかる人物に審判の申立てをしてもらうよう説明することになりますね。この説明を行う際、審判の申立てに必要な書類や情報を適切に説明できると、手続きがスムーズに進むでしょう。

そこで、今回は、成年後見の申立に必要な書類や情報について説明致します。

①配偶者、四親等内の親族の場合

 ・後見開始の審判申立書

 ・各家庭裁判所が定める後見開始の審判申立書の必要書類

 (Ex:財産目録、収支予定表、申立事情説明書、親族関係など)

 ・以下の添付書類

本人申立人成年後見人
候補者
戸籍謄本○※
戸籍の附票
又は住民票
成年後見
に関する
登記事項証明書
診断書
身分証明書
※ 申立人の戸籍謄本とは、申立人が本人の配偶者又は四親等内の親族であることを証明できる戸籍謄本、除籍謄本等が必要になります。

 

なお、家庭裁判所ごとに書式が異なる場合があり、必要な書類の詳細については、管轄の家庭裁判所に問合せましょう。

②市区長村長の場合

 まずは、前回の復習です。

市区町村長による申立ては、市区町村長が、判断能力が十分でない高齢者、知的障害者及び精神障害者について、その福祉を図るために特に必要があると認めたときに行います。

 そして、介護事業者等が市区町村長に対して、成年後見の申立てを行って欲しい旨の申出を行い、これを受けた市区町村長が、本人の情報を収集します。したがって、介護事業者が調査をするわけではありません。しかし、市区町村長が行う調査は時間がかかることも多々あります。

そこで、介護事業者は、市区町村長に対する申出を行うに際し、

  ・入居者が高齢者、知的障害者、精神障害者であることを示すための情報

  ・入居者の福祉を図るために特に必要があるといえるための情報

を市区町村長に提供したうえで申出を行えば、手続きがスムーズに進むでしょう。

具体的には、

入居者の年齢、精神障害を窺わせる診断書の有無、親族関係図、入居者の福祉を図るために成年後見が必要だと考えるに至った事情など、

市区町村長が行う情報収集の役に立つ情報を提供できればいいかもしれませんね。

なお、各自治体は、市区町村長による申立てについて定めた要綱を規定している場合があり、その要綱に必要な書類が定められている場合がありますので、詳細は各自治体に問い合わせましょう。

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